第十四回Hi! ku City句結果

 

5点句

石榴熟る夜の明るき街にをり

齋藤朝比古 特選 草もち 特に大したことは言ってないはずなんだけど、気になる句です。ちょっとしたなまめかしさと退廃感と・・・。
showmaru 都会の夜にはザクロの味にも似た甘酸っぱい香りを感じることがありますね。
松たかし 都会の、庭で石榴が熟れる家。わたしはユーモラスにとりました。「明るき」をどう思って良いのか迷いますね。そこが並選。
五十嵐秀彦 あの〜、この句上五で切れているのかなぁ。「ザクロウル」であれば切れていることになりますね。「ザクロウルル」であれば「夜」にかかります。う〜ん、どっちかなぁ。素直に、切れているととりました。でも後者でも取ったと思う。
感想 山口あずさ 石榴の色って、どことなく人工的な感じがしますね。
 
長き夜の我は時空の穴となる しぐなす 特選 子子 スケール感と、描かれている情景が好き。
五十嵐秀彦 「時空の穴」。いい言葉だと思います。ただ若干観念的なので上五に具体的なものを置くといいのではと感じた。
山口あずさ 作れそうでなかなか作れない句。
美峰  
 
ばつた跳ぶ母若き日の割烹着 五十嵐秀彦 (h)かずひろ 今の時代、その健全なしたたかさから学ぶべきことは多いと思う。
松たかし 割烹着には何か胡散臭さ、集団のいやらしさを感じる。出征兵士を送る割烹着姿なんて知らないけれど、いまも緑の羽を売るおばちゃんあたりが割烹着を着ていて、妙に恩着せがましい。ただここの割烹着はもっと色っぽいほうなんだよね。初めての割烹着なんだよね。それでやや納得。
喜誉司 割烹着って、結構好きです。
草もち 懐かしい感じがいいです。
一文無  
感想 白井健介 「母若き日の割烹着」という回想に対し「ばつた跳ぶ」というのがその回想に包含されるものなのか(そのようにも思われ)、さもなければ……と考えてみるものの、両者の照応の仕方が今一つ見えてこない感じがする。
感想 齋藤朝比古 母ものに弱い。やや御涙頂戴てきフレーズではあるが…。
感想 夜来香 けんちん汁を作られたのでしょうか。秋のさりげない瞬間が鮮やかに目に浮かびます。
 
蜂の尻重しおもしと秋桜 白井健介 特選 美峰 よく見ていらっしゃるなぁと感心しました。
松たかし 冬を前に蜂たちは一生懸命働いて、尻を重く重くしています。そうイメージすると秋桜との取り合わせが可愛い。
一文無  
ぶう  
感想 山口あずさ みなしごマーヤも熟年に差し掛かったか。
 
きりぎりす眼鏡は睡るとき外す 齋藤朝比古 特選 showmaru 童話みたいで気に入りました。
山口あずさ 働くきりぎりす。
べる 心地よい眠りを誘うきりぎりすですね。
白井健介 この「きりぎりす」がいい味を醸し出して“ほんとに納得”という句。
感想 五十嵐秀彦 意表を衝く取り合わせは賛成だが、中七以降があまりにもあたりまえ過ぎないでしょうか。
 
体内でちちろ鳴く夜は耐へがたし しぐなす 松たかし 「体内で」をどうイメージしてよいのか、申し訳ないけど定着できなかった。でも何かしらの不安は伝わってくる。
喜誉司 「体内」というと内臓周辺のような気がします。
五十嵐秀彦 少々あざといかなぁという印象もあったんですけどねぇ・・・。でも好きな世界なもので。
草もち ほうほう。私の体の中で蠢いていたのは、ちちろであったか。
ぶう  
感想 山口あずさ 昼でも耐へ難い。
 
4点句
父さんは戦争で留守なのひとごろし 山口あずさ 特選 五十嵐秀彦 特選です。でも俳句としての特選かどうか選句しておいて自分でよく分からなくなっています。5・9・5であること、口語であること、無季であることなど、伝統詩形的立場に立つと「キズ」(失礼)のある句なのですが、この句の場合、そういう「キズ」を超えて迫ってくる詩魂があり、それが特選に値すると思いました。でもタブン川柳の句会に出しても特選になるんじゃないかなぁ。鶴彬さんの作品と言われても納得してしまいそうだ。
しぐなす コワイ童謡みたいで惹かれました。
子子 コワイ童歌のようですね。
感想 喜誉司 う〜〜む。
自解 山口あずさ 戦前に詠んでいたら逮捕されたかもしれない一句。
 
真夜中が警棒に拠りかかるなり 岡村知昭 特選 齋藤朝比古 何ともいえない世界。無季だが、秋を感じる句。
特選 一文無  
 
月光に肌なぞらせてフォーレ聴く 美峰 特選 たか志 こういうちょっと嘘っぽい俳句が好きなので、一番に取らせていただきした。
喜誉司 月光とフォーレがちょっと重複する感じがしました。
草もち フォーレ、好きです。
感想 五十嵐秀彦 雰囲気はよくわかるが・・・。ムードに寄り添い過ぎているような。
感想 白井健介 「フォーレ」っていうのが何なのか分からない私が悪いんです。すみません。
感想 山口あずさ 「なぞらせて」という言葉にもう一工夫欲しい。
 
圧しつつ切る秋色のカツサンド 白井健介 特選 喜誉司 「秋色」というのがちょっとピンとこなかったんですが、「圧しつつ切る」に負けました。
showmaru 迫力あるおいしさですね。
子子 この迫力と、「秋色」のカツサンド! おいしいカツサンドって、ほんと、おいしい!
感想 山口あずさ 美味しそうですね。秋色グルメ俳句。
 
天心に月あり一指あをき魚 五十嵐秀彦 特選 (h)かずひろ 遠い空に月があり、あをき魚が舞を一指舞う・・・なるほど、龍宮城とは意外とそんな所なのかも。
しぐなす なんとなく惹かれました。
ぶう  
 
かまどうま地球の影に月を置く 山口あずさ べる 小さい頃、かまどうまが嫌いで嫌いで・・・
しぐなす 「月を置く」って、作者はカミサマですか? スケールの大きさに惹かれました。
五十嵐秀彦 極小から極大の世界へ。ある意味俳句の常道をふまえた手法か。
齋藤朝比古 とぼけた季語が好み。
感想 白井健介 内容から察するに「影」ではなく「陰」とするべきではないか?と思うのですが。
自解 山口あずさ 月蝕です。
 
秋の夜のふと口ずさむ坂本九 たか志 特選 ぶう  
特選 オクラ 見上げたら、星空に九ちゃんの笑顔、頑張るぞ!!
感想 齋藤朝比古 「スキヤキ」ではなく、「見上げてごらん夜の星を」であって欲しい。「ジェンカ」だとしたら逆に悲しいかも。
 
3点句
秋の果て黒蜜流れる夜の川 喜誉司 特選 松たかし 秋にはふさわしくない重たさを感じてしまいました。暗黒の時代の予感みたいな。最近の世情ってホント重たいですよね。
子子 おいしそうな黒蜜が流れているのに、この重たさは何。。。
 
2点句
空っぽの秋の空よ髭のびる 松たかし たか志 中七の字足らずが、逆効果でいいのかなあ、と・・・。
ぶう  
感想 山口あずさ 「空」の文字が2度出てくるのがちょいと目障りっす。
感想 夜来香 乾いた空気に不精髭ってあうんですね。
 
積まれたる砂糖大根夜の雨 正明 特選 白井健介 今回の“特選”はこの句を措いて他に無い、と私は思いました。何らの衒いもなく詠まれた実景、そういう句ならではの圧倒的な臨場感というか、とにかく文句無しの迫力に潔く脱帽できる心地好さとでもいうべきか。この句を作者がもしも机上で物にしたのだとしたら、その力量にただただ感心するほかありません。讃。
感想 五十嵐秀彦 このモチーフでもっと深められるはず。
 
秋空に弧描くブーケ手を掠め showmaru 白井健介 要するに“キャッチ”出来なかったってことだよね。で、ちょっと(ていうか“す〜っごく”)残念…とか? そういった訳でしょうけど。う〜ん……。
たか志 あっけらかんとした感じが好きでした。
感想 五十嵐秀彦 説明的かなぁ。
感想 山口あずさ 拾い損ねたということですね。
 
東京の秋に涙の量り売り 子子 特選 山口あずさ たまには泣いてみたい。
 
秋の夜や露人に供さる水餃子 一文無 (h)かずひろ 微妙な異国情緒を漂わせた秋の夜の表現を新鮮に思いました。
喜誉司 一見無関係そうな感じですが、おかしみのある情景が思い描けました。どんなタレなのかな。
感想 山口あずさ 「露人」と「水餃子」の取り合わせはなかなかいいと思う。
 
ものいわぬ少年兵の骨や冷ゆ 江戸切子 山口あずさ 生まれたときから戦争状態に置かれている子供。戦争以外を知らずに死ぬ子供。
しぐなす 個人的には「ものいわぬ」がちょっとイマイチなのと、つきすぎ?という印象を持ったのですが、「少年兵の骨」に惹かれました。
 
食卓に摘みたてハーブ今朝の秋 たか志 齋藤朝比古 瀟洒な家族の風景が見えてくる。この家の娘さんはヴァイオリンを習っていそうだ。
白井健介 その気分の良さを以て「今朝の秋」の“感じ”が余すところ無く表現され、読み手の気分をも爽快にさせてくれる一句、と思う。
感想 山口あずさ 食料品系さわやかCM。
 
満月や夫なき家の手酌かな ぶう 特選 しぐなす この奥様は小股が切れ上がってそうです。あだっぽくてグーです。
感想 山口あずさ 「なき」は、「亡き」なのだろうか?生き別れなのか、死に別れなのか、それとも単身赴任中なのか、はっきりして欲しい。
 
月明を連絡船に乗り換へる 草もち 齋藤朝比古 連絡線。懐かしい響き。「を」が上手い。
たか志 取っておいてなんですが、演歌の世界って感じもなきにしもあらず・・・。
 
月の夜の空の電車に鯉が住む 松たかし 特選 べる なんだか不思議と心が安らぐ一句です。
感想 山口あずさ シゾイド俳句。
 
扇子閉じ問うこと止める夜明け前 喜誉司 (h)かずひろ すべては山の中である・・・
美峰  
感想 山口あずさ お後がよろしいようで。
 
透明な僕に終わりを告げた夜 山口あずさ 子子 あー、終わりを告げてしまったですのね。
オクラ 透明な僕がいい
感想 白井健介 『インビジブル』という映画を想い浮かべました。とは言っても未だ見てないんですけど…。
自解 山口あずさ 他がはっきりすれば自己ははっきりする。敵はまさに他者であり、己を映し出してくれる鏡となる。勇気ある戦争よりも愚かな平和を望む。
 
満月へ夜這ひのやうな雲かかる 齋藤朝比古 一文無  
オクラ 夜這いが気になったが・・・、でも、そんな感じ?
感想 五十嵐秀彦 「夜這ひのやうな」と言わず、ずばり「夜這ひの雲」と言ったほうがよいのでは。
感想 夜来香 夜這いの使い方がいいですね。こんな句が詠みたかったという嫉妬を込めて選句しました。
感想 山口あずさ 夜這い!言い得て妙です。
 
月光が落ち葉に映える大徳寺 癒しのうさぎ 美峰  
オクラ  
感想 山口あずさ そうだ。京都、行こう。
感想 白井健介 この句《月光に落葉の映える大徳寺》ということではないかと思いますが。
 
1点句
スロットの目の流れ行く十三夜 草もち たか志 よく分かんない所が気になって、取ってしまいました。
感想 山口あずさ 月を見ている暇があるか?
 
大東京妻も稲妻も縦横無尽 一文無 showmaru 夫はじっと定点観測するばかりですか。
感想 山口あずさ 行動半径の広い妻?
 
キャスターの癖気にかかる秋夜かな たか志 白井健介 でも「秋夜かな」と結ぶのは少々大仰な感じがするんですよねぇ。例えば《キャスターの癖が気になりだす秋夜》とか好いかも…なんてね。
感想 夜来香 どうでもいいことが気にかかるのが秋の夜長なのかな。
 
置き忘れしまい忘れしうちわかな 都わすれ 齋藤朝比古 不遇な団扇。このうらぶれ感が好き。
感想 山口あずさ 「秋扇」で一句詠んでみましょう。
 
イエスマンばかりいて流星雨の夜 草もち 齋藤朝比古 西城秀樹の「ヤングマン」を部長の眼前で「イエスマン」に替えて歌ってしまった若かりし頃。組織人には無礼講という世界はないことがよく解った苦い思い出…。でも、雨の夜には流星は見えないんじゃないかなぁ。
感想 白井健介 惜しいと思いました。例えば《イエスマンばかりいる夜の流星雨》とかだったら採っても宜いかなぁと思いますしね。
感想 山口あずさ 偉くなるというのも腹の立つものですね。
 
座頭市の賭場のシーンや夜半の秋 白井健介 山口あずさ なんかいいっすね。
感想 齋藤朝比古 勝新は不世出の役者です。中七にもう一工夫あれば採ってました。
 
月うさぎ不思議の国のアリス読み showmaru 五十嵐秀彦 「不思議の国のアリス」を読んだのか、「不思議の国のアリス」が好きでいつも読んでいる「アリス読み」ともいうべき人なのか。それで印象が違ってくるようです。前者が自然でしょうが、後者の面白さもあるような。
感想 山口あずさ 「あなたも充分不思議だわ」とアリスがうさぎを見て言った。
 
風鈴の音夢うつつ孫笑う オクラ (h)かずひろ 「お菓子の家」などという発想すら「子供騙し」に思えるほどの無垢な夢を見ていることでしょう。
感想 山口あずさ 夢うつつなのは誰?
 
緑陰を選びて蝉のそそうかな ぶう 一文無  
感想 山口あずさ もっと珍しいものを選んで欲しい。この季重なりはちと芸がない。
 
再開やデンキブランに稲光 江戸切子 草もち 再開→再会? 「再会や・・・」として、取りました。
感想 白井健介 「再開や」というのがどういうことなのか全く分かりませんでした。
 
十五夜のこころのふくらみ手の丸み 松たかし showmaru 何かほんわかしていていいです。
感想 山口あずさ 誰かと手をつないでいるのか。
 
ひまわりや枯れゆく姿に染まる夜 べる 美峰  
感想 山口あずさ 夜がひまわりに染められるのでしょうか。言葉にもっとパワーが欲しい。
感想 喜誉司 ゴッホっぽくって好きです。
 
椰子の実が落ちて昨日が砕け散る 子子 べる 椰子の実が落ちる音がきこえてきました。
感想 山口あずさ 椰子の実が落ちようが落ちまいが。。。
 
ぬばたまの牛の瞳や夜半の秋 江戸切子 オクラ 秋の透明感があっていい。牛の瞳に月明かり?
感想 山口あずさ 「夜半の秋」との取り合わせが効いているかどうか。
 
0点句
握りしは昨日(きぞ)の真闇や鬼胡桃 五十嵐秀彦 感想 山口あずさ 老人の惚け防止を気取って言ってみたような。。。
 
通いなれ見なれし家並菊の鉢 都わすれ 感想 山口あずさ 菊を育てるっていい趣味ですね。
 
芭蕉あり夜寒に我をうちのめし ぶう 感想 山口あずさ 芭蕉の葉に打たれたのだろうか?それとも芭蕉の句に己の未熟さを??
 
マニキュアの乾く間に秋深まりて showmaru 感想 白井健介 「深まりて」はせめて<深まりぬ>とする方が宜いでしょう。惜しい。
感想 齋藤朝比古 好きな世界なんだけど、やけに散文的・説明的な表現が残念。
 
宵闇やお局様の生あくび (h)かずひろ 感想 山口あずさ 見て見ぬ振り。
 
人参をほおばる兎眠る月 べる 感想 白井健介 「眠る月」というのが今一つぴんと来なかったです。
感想 山口あずさ 兎が人参に夢中になっている間に月は休んでいるのだろうか?
 
旅に来て眠れぬ夜に遠蛙 オクラ 感想 山口あずさ 自然って、うるさいんですよね。
 
秋扇となりてすく髪の漆黒 美峰 感想 山口あずさ わすれられた存在になったということなのだろうか?卒塔婆小町?
 
深き夜に 足元見つめる 青き月光 mami 感想 山口あずさ 月光仮面がお財布を落としたのか?いずれにせよ、一文字あけの意味なし。
 
寝ては覚め覚めては思う長き夜 オクラ 感想 山口あずさ 不眠症ですね。
 
退廃の王朝史読む獺祭忌 (h)かずひろ 感想 山口あずさ 「退廃の王朝史読む」と「獺祭忌」がどのように響き合っているか。
 
夜は明日の始まりよと婆笑う 一文無 感想 山口あずさ 軽やかな婆さん?
 
秋風の吹くギター弾く夜 沙門 感想 山口あずさ 「時間ですよ」のエンディング?
 
ブルーとグレー白亜紀の夜星が降る 喜誉司 感想 山口あずさ ブルーとグレーは何を意味しているのでしょう?
 
萩分けてバスに駆け込む夜の雨 正明 感想 山口あずさ 一瞬「トトロ」と思ったのですが、そんなシーンあったかな?
 
夜汽車窓冷酒弁当曼珠沙華 正明 感想 山口あずさ 「曼珠沙華」で無理矢理詩情を醸し出そうとしているような。。。
 
じゅたんの畔にポツンとまんじゅしゃげ 癒しのうさぎ 感想 山口あずさ 「じゅたん」がよくわからなかった。
 
夜顔や星の回転ゆっくりと しぐなす 感想 山口あずさ 「夜顔」ってあるんですね。昼顔科だそうです。
 
信号は赤に変わった季節です 子子 感想 夜来香 信号待ちをするのが、心地よい季節。赤の色も冴えて見えますね。なるほどーと思いました。
 
今朝の夢見度き続を願う夜 都わすれ 感想 山口あずさ これをモチーフに一句詠んでみましょう。
 
微睡みの鼓膜を震わす砂嵐 べる 感想 山口あずさ 砂嵐の中で微睡めるものだろうか?

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