第十八回Hi! ku City句結果

7点句
昇天の電光ニュース牡丹雪
齋藤朝比古
特選
しぐなす
鮮やかに目に浮ぶ光景です。昇天するニュースと地に下りてくる牡丹雪の対比がすばらしいです。
特選 夜来香 既視感のある句。
草もち 「電光ニュース」と「牡丹雪」の取り合わせが絶妙だと思います。ただ、「昇天の」というのが、判りにくい。(これ、文字が下から上に流れることを形容してるんですよね???)
五十嵐秀彦 降りしきる牡丹雪はあらゆるものから輪郭を奪う。電光ニュースが白い闇の中、天へと昇ってゆく。
ぶう  
感想 白井健介 「電光ニュース」を詠んだ類想句が既にかなり多いだろうと思われるので、句としては欠点がないという印象を持ちましたが、パターンどおりと言わざるを得ないのかもしれません。
 
号外の撒かれ枯野となりにけり 齋藤朝比古 特選 五十嵐秀彦 題が題なので川柳的時事句の多い中、ギリギリ俳句となった数少ない句の中で一番好きな句です。
特選 草もち 凄愴な雰囲気。緊張感をうまく伝える句だと思いました。
しぐなす 不吉な予感に惹かれました。
松たかし 「撒かれ」で切れるのかどうか。そこが弱い。「枯野」を象徴的とりましたが、いかがでしょうか。
ぶう  
感想 山口あずさ どんなニュースが書かれていたのだろう。高らかに開戦を伝えていたのかも。。。
 
6点句
四温まづ砥石の凹み均しをり 白井健介 特選 魚容 うまいですね。なるほど、こういうふうに「四温」って使うのかって感じ。砥石でなにを研ぐのかわかりませんが、斧でも包丁でもナイフでも、春に向かって準備。きちんと研ぐには、まず砥石のへこみを直してから。そういう心がけのよさにも魅かれます。
草もち 静かな春の到来を、的確に表現されたと思います。
松たかし 春の兆しを砥石というやや特別なものに託しているのが気になりました。この人板前さん?でも感覚は伝わってきます。全体的には言葉に滑らかさがない。まさに凸凹。
五十嵐秀彦 姿の良い句と思った。水のぬるむ感触もあり。
ぶう  
 
鞄からニュース取り出す春の人 子子 特選 山口あずさ 取り出したのは新聞だったのかもしれませんが、言い得て妙。
草もち 同じニュースでも、この句にはちょっとコミカルな感じが。
夜来香 新製品を売り歩くセールスマンも春の人と言うと、途端に印象が良くなります。でも、これは号外を配る人だったりして?
齋藤朝比古 「春の人」という直截的ないい方がこの句の場合効果的。
松たかし このニュースは明るいニュース。若いサラリーマンのような新鮮さが伝わってきます。すこし説明的ではありますが。
感想 白井健介 「春の人」というのには無理を感じます…。
 
5点句
白湯飲めば冬は胃にありしんしんしん 魚容 白井健介 言われてみれば「冬は胃にあり」とは実に納得のいくとても優れた措辞であると感心頻りです。
草もち 言われてみると、白湯って淋しい飲み物ですね。
喜誉司 「寒の水臓腑に流し糧の道」と並べてみて楽しみました。
子子 しんしんしんに弱いです。
一文無  
 
暖房の部屋にニュースはぬるくなり showmaru 魚容 毎日大量に発信されているニュース。そのそれぞれが切実なものであるはずなのだが、暖房の効いた部屋でぬくぬくとしてきいていると、すべては他人事のような気になってくるのであった。
五十嵐秀彦 「ニュース」が「ぬるく」なるという捉え方が良い。
夜来香 どんなに残酷なニュースも、なんども繰り返されると、無感覚になっていきますね。
小島けいじ テレビやラジオを通して得るニュースっていうのは、どうしてもリアリティに欠ける。その中でも最近のニュースにはそれを事実と認識するまで時間を要するようなショッキングなものが多い気がする。そのあたりをうまく捕まえていると感じた。
ぶう  
感想 しぐなす 暖房の部屋にニュースはぬるくなり当たり前過ぎると思いました。もっとひねってください。
 
「あけましておめでとうございます」のキュー 草もち 特選 白井健介 今回のテーマ『ニュース』をこんなふうに料理してくれるとはねぇ〜…とただただ感心しております。斯くも見事に虚を衝かれ一本採られて爽快感とも言うべき心持ち。かつて“篠沢教授”が「非常に愉快ですね」と言う時の気分というのはこんな感じ?ってことはないですよね…などと冗談はやめにして、とにかく特選です。讃。
特選 小島けいじ キューを出す人、出される人の年を跨いでの緊張感がいい。最近はカウントダウンで年を越す局が多いけれど。
齋藤朝比古 何事にも、きっかけが欲しいと思うときある。
 
4点句
日脚伸ぶ定規を汚すフェルトペン 白井健介 特選 showmaru フェルトペンと春を待つイメージが重なりました。
山口あずさ 定規が汚れると紙も汚れちゃうんですよね。「日脚伸ぶ」に不思議と響き会うのは紙の汚れ跡を思い描いたせいなのか。
夜来香 ついついシゴトがはかどって・・・フェルトペンが柔らかさ、温かみを感じさせます。
感想 齋藤朝比古 春待つ感じと定規を汚すという行為がなぜかしっくりくる。フェルトペンまで述べる必要はあったかな。 
 
3点句
雪解風気象予報士キューピー似 しぐなす 山口あずさ 予報があたるといいな。
齋藤朝比古 気象予報士という難関資格を突破した人がキューピー似だという意外性。雪解風のやさしさも好感。
夜来香 どのキャスターかしら? 思いがけずそっくりさんを捜した時って楽しいですね。キューピーって、「春の人」かも。
感想 白井健介 「気象予報士キューピー似」というのはイケてるフレーズと思う。上五はもっと“意外性があって尚且つぴったいのもの”という贅沢な期待をしちゃいますね…。
 
雪降れば抱きしめられる猫がいる 子子 白井健介 「抱きしめられる」は<抱きしめることのできる>という可能の意味というより「抱きしめられる猫」という受け身の方に解釈しました。その上で“屈託のなさ”が味わいとなっているところに惹かれました。
しぐなす 適度な甘さに惹かれました。
喜誉司  
 
東京の雪のニュースと珈琲と 草もち 特選 齋藤朝比古 不満のない世界観がイイ。ゆったり過ごす休日の雰囲気あり。
showmaru 雪の日のコ−ヒーはおいしい!休日ならなおさら。
 
襤褸市の人ゆるやかにぶつかりぬ 齋藤朝比古 特選 松たかし 迷いました、欠点が多いので。襤褸市がよくわからない。無季もあって?「ゆるやかに」のイメージを定着できない。でも、なんとなくどこかの国の様子を知らせるニュースを観ている感覚になりました。(無季がすべてよくないというわけではありません)
一文無  
感想 白井健介 「ゆるやかに」は雰囲気を醸成する一見良さそうな措辞なのですが、的確さという点で果たしてどうなのか? 私にはちょっと引っ掛かったのですが…。
 
開戦の予兆のような海に雪 松たかし 魚容 物騒。不気味。暗い。戦前。
小島けいじ 海に雪が上5に対してどうかとも思うが、ニュースという題材に対してザックリ行って、句としてはいいなと思う。
山口あずさ 海に降る雪というモチーフは既視感ありですが、確かに開戦の予兆がありますね。
 
2点句
難民の次は毛皮かワイドショー ぶう 小島けいじ 毛皮じゃないんだけれど、ワイドショーのキャスターのニュースごとの豹変振りには確かに薄寒くなることがある。
山口あずさ テレビ番組の進行には無情なものがあります。
感想 白井健介 とてもレベルの高い“時事川柳”的な鋭い切り口が大いに魅力的でした。
 
クローンな毎日笑う冬の月 夜来香 特選 一文無  
感想 山口あずさ 日々、同じことの繰り返し。ドリーのように早死にしたりして。
 
拉致の「拉」は拉麺の「拉」寒波来る 草もち しぐなす おもしろい。そうだったのかと唸りました。
子子 おー、そういえば、そうですね。
感想 齋藤朝比古 発見のようでなぜか押し付けがましく感じてしまうのは、季語のせいかも。
感想 白井健介 そうか…って納得はしますけどね。
感想 魚容 すっかり暗くなった夕暮れ。風邪の冷たさに湯気を上げるラーメン屋で熱い麺をすすっていると、テレビでは拉致のニュースと寒波がやって来ているというニュース。「ウ」は宇宙船の「ウ」だとは聞いたことがあったけど。「寒波来る」の季語が効いています。
 
西安の花色餃子路地に猫 子子 五十嵐秀彦 中国の町並みが眼前にあらわれる気がする句。けれど季は何だろう。「花色」と「猫」とで春の季感とは思うが。季語が明確であれば文句なしであった。
白井健介 とても美味しそうな句。「路地に猫」という景も微笑ましくて好い。まさか「昨日のあの猫の姿が見えないのだけれど、どこいったのかしら?」ってそういう“ノリ”の句じゃないですよねぇ?…そうですよねぇ。冗談です、失礼しました。
感想 魚容 大陸的雑踏、大陸の色彩。異国の情緒を感じます。
 
富士山に突き刺しているウェハース 山口あずさ 子子 おいしそうですね!!こんなに巨大なパフェ、食べてみたいです!
一文無  
 
節分や明日は戦後か戦前か 小島けいじ 特選 ぶう  
感想 齋藤朝比古 中五以下は理屈だが、理屈では割り切れない感慨が湧いてくる。もっとふさわしい季語があるはず。
感想 山口あずさ 戦前の気分というのは、こんな感じかしらと思わせるようなシーンにたびたび出会います。
感想 しぐなす 時期が時期だけに、含蓄に唸りました。隣の将軍様もアブなそうですしねっ。
 
冬苺ゆっくり齧るハッピーマンデー 夜来香 showmaru 艶やかなイチゴって見るだけでうれしくなりますね。
しぐなす まさにハッピーマンデーです。
感想 白井健介 《ハッピーマンデーゆっくり囓る冬苺》というふうに語順を入れ替えてみると、字余りによる違和感が薄れていっそう好印象の句になるのでは?
 
母恋し赤子の声で号泣す 山口あずさ 特選 子子 ちょっと、こういうのたまんないです。。。
自解 山口あずさ 文字通り。幼い頃、こういう声を上げたことがありました。
 
干し柿に傘さしかける隣かな ぶう 松たかし まさに「隣は何をするひとぞ」ですね。そんな興味のわく句です。
子子 こういうお隣さんばかりだと、素敵な世の中になりますよね。
 
1点句
放火魔はおとめ座なりし虎落笛 しぐなす 魚容 普段、善良な市民にしか見えない乙女座の放火魔と虎落笛の取り合わせ。ふと狂気を感じさせられるような。どうも僕は一番最後に並んだ句に弱いような気がする。
 
ニュース見ず太る氷柱を想ひけり 五十嵐秀彦 喜誉司  
感想 白井健介 「ニュース見ず」というのに少しでも必然性が感じられる必要があるのではないかと思ったのですが。
感想 山口あずさ スキーに出かけての一句?それとも露天風呂で雪見か?見たくないニュースばかりです。
 
雪洞に寝てきたという友に髭 魚容 白井健介 私は「友に髭」より<友の髭>とした方が断然よかったように思う。そうであったら特選にしていたかも。“口ひげ”を表す「髭」であるところが“ミソ”なんでしょうね…。
 
半額の暦を掲げ冬眠す 夜来香 showmaru 静かな部屋で50%OFFのカレンダーは居場所が決まってほっとしている。
感想 山口あずさ 年が明けて値崩れしたカレンダー?
 
風光り東京電報矢を放つ (h)かずひろ 小島けいじ 東京電報という表現に、別に電報を貰ったわけでもないのにノスタルジーに似た共感を覚えた。
 
雪雲に行方を問えば浄土とか 松たかし 齋藤朝比古 雲と浄土はつきすぎの感あるも、雪雲だとちょっと異質な感慨。
 
朝刊にのつとられゐる水つ洟 五十嵐秀彦 showmaru 鼻水が新聞を占領しているのかも。
 
寒の水臓腑に流し糧の道 一文無 喜誉司 「白湯飲めば冬は胃にありしんしんしん」と並べてみて楽しみました。
感想 山口あずさ ストイシズムの表現なのだと思いますが、紋切りのような気も。。。
 
雪ひらの嘘の大小ニュースの夜 五十嵐秀彦 魚容 雪のひとひらに表と裏があるような。ニュースには表と裏がありますね。見当違いかもしれないけど、ニュースのもつ含みというものを感じさせられるような気がします。 目には見えない電波に乗ってニュースの飛び交う夜。北陸では風もなく、大きなぼたん雪がゆらりゆらりと舞っています。
 
0点句
傲慢に冬のニュースが屹立す 小島けいじ 感想 山口あずさ 大本営発表みたいな北朝鮮のニュース。
感想 齋藤朝比古 戦争関連ニュースだろうか。作者の憤りは感じられた。ただ、傲慢と屹立は表現として強すぎる。
 
大厄や訃報までも恵方から 一文無 感想 山口あずさ わたしも大厄だったらしい。。。
 
初場所や髷乱しゆけ貴乃花 魚容 感想 山口あずさ 引退後の穏やかな表情が素敵ですね。お疲れさまでした。
 
春の宵オフレコネタで探る胸 (h)かずひろ 感想 山口あずさ 秘密をばらすことこそが、親密の証?
 
冬の雨祈りのように灯の柱 松たかし 感想 山口あずさ <祈りのように><灯の柱>どちらとも祈りのよう。
 
又地震のニュース速報蜜柑むく つーやん 感想 白井健介 類想観はあるが出来ている句と思う「又」は<また>と仮名でよかったのではないでしょうか。
感想 山口あずさ 「のニュース」がなくてもいいような。。。
 
大寒や遙か台風1号とや 白井健介 感想 山口あずさ 遠くにある熱帯低気圧に春の予感。
 
寒紅やアンカーウーマン一文字 showmaru 感想 白井健介 《アンカーウーマン寒紅の一文字》というふうだったら採りたい感じも。
 
御神渡り五年ぶりの大写真 一文無 感想 山口あずさ http://www.root.or.jp/RADISH/NANAFUSI.HTM諏訪湖の「御神渡り(おみわたり)」。ネットで調べて初めて知りました。
 
ニュース食い生きし怪物ニュース生む 喜誉司 感想 山口あずさ ウルトラQの中に出てきたりして。
 
一月や木に真つ白な風が吹く つーやん 感想 齋藤朝比古 気分はわかる。ただ、真っ白な風と言ってしまうと季題としてはやっぱり秋。
 
敬愛する将軍様のみだれ髪 しぐなす 感想 山口あずさ 某国の外ではギャグ以外の何ものでもない。。。そっくりさんにコメディアンになって欲しい。
 
事実とは情報とはニュースとは 喜誉司 感想 山口あずさ 問うことこそが物を考えることだと思います。これを句に仕立てるのは一苦労。
 
大年もたちまち暮れぬ OFF-RAMP つーやん 感想 山口あずさ 「OFF-RAMP」には、特別な意味があるのだろうか?
 
正義の味方ひょっとこ仮面 だぞ 山口あずさ 自解 山口あずさ お後がよろしいようで。。。
 
「ちょこざいな」剣がペンを払う冬 showmaru 感想 山口あずさ 「ちょこざいな」という言葉を久しぶりに目にした。面白い。

 

 

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