第二十四回Hi! ku City句結果

15点句
遠雷や校了近き辞書づくり
魚容
特選
山口あずさ
地味な句だと思うが、とても感じがでていると思う。
特選 遊月 大きな仕事を成し遂げた気持の高ぶり。満足と自負。お疲れさまでした。
特選 白井健介 渋い味わいに深みのあるこの句を特選とさせていただきます。「辞書づくり」ほんとうにお疲れさまでした、と申し上げたいです。
特選 つーやん 手間暇のかかる辞書づくりの校正も終わろうとするころの一瞬の遠雷の音。対比が見事ですね。
特選 たか志 辞書を作る仕事と遠雷が、なるほどよく響き合っていてるなあと感じました。
特選 草もち 辞書をつくるというのは、じつに大変な作業なんだそうで、それが校了近いとは、気持ちも高まります。その感じを、遠雷がうまく演出していると思います。
喜誉司 辞書の編集って数年〜数十年かかるんですよね。
齋藤朝比古 辞書づくりには想像を絶する膨大な労力がいるのでしょう。少々ドラマ仕立てですが、この遠雷はなかなかいいです。
夜来香 レトロな雰囲気がある。じわじわ感が良い。
 
8点句
風鈴を鳴らさぬやうに吊りにけり 齋藤朝比古 特選 五十嵐秀彦 「鳴らさぬやうに」が良いですねぇ。
特選 喜誉司 ちょっとひねくれているところが気に入りました。
あつ子 眠っている家族(もしかしたら赤ちゃん?)がいるからでしょうか?鳴らさぬように吊るというのが風鈴と逆説的な感じで面白いと思いました。
夜来香 風鈴は鳴るものだけれど、鳴らさないものでもあります。
松たかし どうして?ってイメージを広げてしまいます。
つーやん その気持ちわかります。
感想 山口あずさ 新しい風鈴を買ってきたのか。箱から出して、そっと鳴らさぬように吊り下げる。そう、風鈴は手で鳴らすものではなく、風が鳴らすものだから。
感想 白井健介 ならばやっぱ吊らない方が宜いのでは?
 
7点句
雲の峰埴輪は口を開けたまま 草もち 五十嵐秀彦 閉じろと言うわけにもゆかず。雲の峰がけっこう効いている。
山口あずさ 埴輪の口開けは発見というほどのことはないが、「雲の峰」とうまく響きあっている。
魚容 上五との取り合わせに必ずしも成功しているとは思えないのですが、埴輪のイメージが強烈です。ということは成功しているのかな。
あつ子 確かにそうですよね。
showmaru そういえば今年はびっくりするほど大きな入道雲に出会いませんでした。
喜誉司 そういえば、埴輪って最近写真でも見ていないです。
つーやん おもしろい取り合わせです。「埴輪の口は開いたまま」ではだめですか?
感想 齋藤朝比古 手堅いですが・・・。かなり類句があると思う。
 
鰻屋の二階からみる夏の空 松たかし 特選 齋藤朝比古 落語の「子別れ」の鰻屋でのシーンを思い出した。鰻屋の二階、おつなもんですなぁ。何にも言ってないところがイイ。心地好い暑さを感じます。
白井健介 素朴な心地好さを戴きました。「みる」は「見る」で宜いかと思います。
草もち 季重なりかもしれませんが、あまり気になりません。「二階」が上手いと思います。
魚容 「鰻屋の二階」がものすごく利いていますよね。詩情があります。なんでだろ?よくわからないけど、すばらしい。
つーやん ウナギはやっぱり夏ですね。
喜誉司 2階は当然お座敷で、白焼きを注文していそう!?
 
5点句
観覧車上れば下る夏の月 草もち 特選 あつ子 当たり前の事なんですが、こう句にされると面白いなと思いました。
特選 showmaru 夏をさらっと詠んでいるところがいいですね。
たか志 当たり前のことだけれど、すらりと詠んでいるところがいいと思います。夏の月がいいと思います。
感想 五十嵐秀彦 夏の夜にむかってぐんぐん昇ってゆく観覧車の解放感。
 
4点句
サルビアの花の数だけ嘘をつき 遊月 特選 魚容 「サルビアの花」がスバラシイですよね。サルビアの赤い花って、どこか派手にドカーンと押し切れない地味さ、暗さ、後ろめたさがありますよね。
草もち 「洋モノ」の花には、なんとなく「嘘くささ」があると思う。
子子 うわー、すっごい嘘つき!
感想 齋藤朝比古 あのサルビアの赤を見ていると確かに自省したくなってくるかも。人間は嘘をつきながら生きてゆくものなのです。ただ、中七が少々常套的表現なのが残念。
 
空缶に落とす吸殻夏期セミナー つーやん 魚容 浪人生ですかね。現役生が夏季セミナーを受けて、第一のショックは浪人生のタバコだったって話、二十年ほど前に聞いたような記憶。
遊月 三浪の身のあわれ。
齋藤朝比古 この倦怠感はまごうことなく夏期セミナー。「新しい単位/世界単位認定協会編」(扶桑社発行)によれば、空き缶を灰皿にする行為は、だらしなさの2Hbに相当するそうです。(尚、棋士の羽生名人の寝癖のだらしなさを基本単位として1Hbとしています…笑)
あつ子  
感想 山口あずさ なんだか臭いそうですね。。。
 
3点句
どこまでもどこまでも青夏の空 たか志 特選 芽実 伝わりやすく、ひねくれてなくて、そう!と思える部分のある句が好きです。響きが良いです。
子子 という夏はありませんでしたね、今年。
感想 白井健介 本当にこの句の通りだと感じる「夏の空」って確かにありますよね。
感想 齋藤朝比古 「どこまでもどこまでも青夏の」までの衒いのなさは結構好き。「空」はあまりにも、あまりにも予定調和すぎて残念。違うものを置いてもらいたかった。空以外の二文字の名詞なら採っていたかもしれません。
感想 山口あずさ 「どこまでもどこまでも」の繰り返しが効いている。さわやかな一句。
 
縦長の空を見上げてパリー祭 一文無 夜来香 ユトリロの絵を思い出した。縦長に切り取った構図が良い。
白井健介 とにかく「縦長の」って上手いと思う。〈巴里祭〉という表記する方が私は好きですけれど…。
遊月 エッフェル塔を見上げているのかな。よくわからないが、何となく面白い。
感想 山口あずさ 両サイドを建物に区切られた空間で見上げる空。
感想 五十嵐秀彦 なんだか突然亡霊に出会ったような季語ではある。
 
鳶の輪を眺めつヱビスビールかな 白井健介 喜誉司 夕方の(二級河川以上の)河原の土手に座っている感じがたまりません。
草もち 特選にしようかと迷った句。昼日中からビールを飲む倦怠感がいいです。でも、ヱビスは高いので、発泡酒にしときましょう。
遊月 ビールがうまそう。これはCMフィルムにするといいかも。
感想 山口あずさ 宣伝?
感想 齋藤朝比古 なにやら平和的風景。幸せそうでいいです。この雰囲気はアサヒスーパードライやハイネケンじゃだめです。キリンラガーかヱビスです。
 
月曜の暑さも雨も愛されず showmaru 芽実 平日働く者として、同感です。
たか志 言いたい感じはよく分かったので・・・。でも推敲の余地ありかなとも思います。
つーやん ブルーマンデーですね。
感想 白井健介 ほんとそうですね。納得。
 
プラットホーム加速して夏の旅 遊月 齋藤朝比古 電車ではなくプラットホームが加速するという把握が俳句らしい詠み振り。七五五のリズムにスピード感。そしてこの感慨は確かに夏。巧い句です。
芽実 夏の旅行はどーしても電車が似合うと思うのは、何故なんでしょう。
たか志 ちょっと意味はつかみきれませんが、好きな句です。
 
2点句
夏帽や空似の人と目が合ひぬ あつ子 特選 夜来香 こうゆうことってありますね。夏帽の新鮮な発見に脱帽。
感想 魚容 なにやらちょっと古めかしい推理小説の発端のような気配。
感想 白井健介 さしずめ「夏帽や」は〈夏帽の〉とすべきところだと私は思います。
 
やさぐれた猫いるらしき小将町 子子 特選 松たかし 世界が面白い。やさぐれた猫という発想も。
感想 山口あずさ 劇団四季?
 
ありように話せと云われ心太 たか志 松たかし 心太のイメージぴったりですね。
山口あずさ 「心太」のようにつるっと話したのだろうか。云われた後、どうなったのかが気になる。
感想 白井健介 「心太」の取り合わせはいいですね。でも〈ありていに〉じゃない?
 
昼寝覚荒野のごとき瞼かな 齋藤朝比古 showmaru 荒野とは言い過ぎ、いやそんな気もする。
五十嵐秀彦 この把握はけっこう好きなほうです。
感想 白井健介 「荒野のごとき」というのが私にはイメージしきれなかったです。
 
空事を開けたり閉めたり日傘人 夜来香 松たかし 日傘人がどうもうまくない。前半がとても期待をもたせてくれるのに惜しい!
五十嵐秀彦 「空事」と言ったところが面白い。
 
死にもなほ憧れてをり竜舌蘭 山口あずさ 特選 子子 竜舌蘭の形と、この句の形が美しいです。
感想 白井健介 私(の好みの問題で)にはちょっと“甘い”という印象でした。
自解 山口あずさ 数十年に一度開花し、咲き終わると枯れてしまうとか。朝日新聞の天声人語を読んでの一句。花を咲かせてから死にたいものだ。
 
夏蝶の鱗粉築地本願寺 五十嵐秀彦 山口あずさ 蜷川幸雄の舞台を思い出した。「夏蝶の燐粉」がギリシャ悲劇的なのだろうか?
松たかし 静かなイメージ。でもどこか粘っこい。
感想 白井健介 「の鱗粉」とまで敢えて言った事と以下との関連が私には見えませんでした。
 
こんな曲嫌ひと言はれ遠花火 つーやん 齋藤朝比古  切ないなぁ。私も前川清ずきだから、言われてしまいそうだ…。曲は嫌いと言われても、本人のパーソナリティはは嫌われていないのだと言外に匂わせているところが眼目。
showmaru 押さえ難いコードも一生懸命練習したのに・・・
感想 白井健介 中七までのフレーズはいい感じだが「遠花火」が効いてない気がしました。
感想 山口あずさ 心のなかで、「ちぇっ」と言ったような。。。
 
夏空や御堂の屋根は反りてあり 魚容 あつ子 奈良のお寺をイメージしました。
たか志 いかにも夏らしい感じが詠めていると思います。
 
海の日を一日違へて答へをり あつ子 芽実 気が付いたら、20日じゃなくなってたんですよね。いつからだったんだろう。
白井健介 とりあえずは「答へをり」ではなく「答へけり」として戴きたいと思います。
 
空色の哀しみ食らう日本海 子子 山口あずさ 日本海が哀しいのは定番だが、「食ら」ったところがよかった。
夜来香 ともすれば演歌になりそうだが、食らうが効いている。
 
1点句
夏天雲一つ無し陽関を過ぐ 草もち 魚容 王維ですか。タクラマカン砂漠に一片の雲なし。破調だけれど、「夏天」の音が利いています。
 
どの顔もロールシャッハの空似かな 夜来香 子子 そう、見えてしまうときって。。。
 
太陽に似てると言ったなみだむし 芽実 子子 なーんか、青春!っていう感じ。
感想 白井健介 「なみだむし」って何? 私には分かりませんでした。
 
愛人と線香花火黒い下駄 松たかし 白井健介 「黒い下駄」がアングルの妙味をさりげなく演出している巧さに感心させられた一句。特選候補でした。
感想 魚容 上五中七と「黒い」まではドキドキするのですが、下五がどうもすこし納得できません。
感想 山口あずさ 映画のワンシーンのよう。
 
算盤を空で弾いて閑古鳥 喜誉司 草もち 景が浮かびます。「弾いて」と連用形でつながるのかよいのか?、「閑古鳥」が適切か? と、疑問点はあるのですが…。
感想 山口あずさ なんというか、不況なんですね。やっぱり。
 
空晴れる たたずむ人の 影黒し 天音 芽実 お日様のいちばん高い時間を想像しました。夏の暑さが伝わってきました。
 
夏盛る空より魚鱗とめどなく 遊月 五十嵐秀彦 はあ、このイメージはけっこう好きですなぁ。
感想 山口あずさ 恐ろしい。鱗ってなんで怖い感じがするのだろう?
 
0点句
三度目の最後の恋にしゃばだばだ 子子 感想 白井健介 面白いッ!このフレーズとても好き。
感想 山口あずさ 11PM?
 
大学へ行く途中片陰のあり つーやん 感想 山口あずさ 大学へ行く途中の片影で、何か起こって欲しい。
 
筆談を消さぬ教科書夏期講座 あつ子 感想 魚容 授業中の筆談。おもしろいですよね。ひっそりこっそりがよけいに盛り上がります。
 
約束の指狂ひ出す空の式典 山口あずさ 自解 山口あずさ 「約束の指狂ひ出す」というフレーズになぜか取り付かれてしまった。じぶんでも意味がよくわからない句。
 
夏期講座ペットボトルで小休止 たか志 感想 白井健介 言おうとしている場面はよく分かりますけどね…。
感想 山口あずさ あまりにも現実。詩情が欲しい。
 
君想い永遠に焦がれる空の碧 盆虻 感想 魚容 青春そのもの、のイメージ。でもそのぶんだけ手垢にまみれてもいるイメージ。
感想 白井健介 う〜ん……そうかぁ……
 
空地にはクルマ一台蝉群れる 松たかし 感想 白井健介 「クルマ」に「蝉群れる」かのような印象をも受けてしまうのですが、そうではないんですよねぇ…。
 
金魚泳ぐや空色縮緬 喜誉司 感想 山口あずさ 浴衣の描写。どんな人が着ていたのかがわかるといいかも。
 
夕立や別れの尾灯がにじみゆく 魚容 感想 山口あずさ 「別れの」が余計か。
感想 白井健介 「尾灯が」の「が」は要らないんじゃないの?
 
暑の空に腕(かひな)の長きポプラかな 五十嵐秀彦 感想 山口あずさ くっきりと黒い影を落としているのでしょうね。
 
蚊柱や虚空の文の縦書に 五十嵐秀彦 感想 山口あずさ 「蚊柱」を文字と見立てたところは思い白い。蚊柱がどんな文字を綴るのか。
 
老鶯のこゑ薔薇の名をもう忘る 白井健介 感想 齋藤朝比古 何度か薔薇園に行ったことがある。何千種もの薔薇に各々名前がついている。到底覚えられるものではなく、この感慨には共感。ただ、老鶯という季語に「こゑ」は要らない。
感想 五十嵐秀彦 この句の場合、季の重なりが気になる。どちらも主人公の顔をしているので。
 
青空を 瞳に映す 新生児 天音 感想 魚容 覚えているようで、覚えていないのが、赤ん坊のときの(特に新生児の)子供の顔です。そうだったかもしれぬ、と思わせられるのは、親バカなのでしょう。それはそれとして爽やかです。
感想 山口あずさ 一文字開けの意味なし。
 
恋人の前で無口な孫悟空 山口あずさ 感想 白井健介 『ドラゴンボール』の孫悟空のキャラとはちょっと違うわけね。
 
梅雨寒にさんざめきたり空涙 夜来香 感想 白井健介 この句の「空涙」というのは私には解りませんでした。
感想 五十嵐秀彦 う〜ん、なんだか言葉を張り合わせたような落ち着かぬ感じ。
 
ワイン利いてきたるあぢさゐ散策路 白井健介 感想 山口あずさ どんな時間帯に散策しているのか気になった。
感想 魚容 あじさゐの散策路をいくって設定はかなり上品な部類だと思うのですが、その上品さとワインの上品さ(昼間明るいうちに飲む酒として、日本酒や焼酎と比べた時の)をひっくりかえすような酔いが足もとを襲っている。酔いの自覚の感覚がおもしろいと思います。
 
歳時記の「大暑」うらめし冷夏かな 一文無 感想 白井健介 答えを全部出してしまった(という印象を受ける)句なんですよね…。
感想 山口あずさ ほんとに今年は拍子抜けしてしまうような夏でした。
 
青空へ消えゆくサイダーの気泡 齋藤朝比古 感想 魚容 ユーミンの『海を見ていた午後』をふっと思い出しました。
感想 山口あずさ サイダーの気泡が突如空にという飛躍に少し無理があったか。マグリットの絵のように、空にコップが浮かんでるのを想像させる何かがあったらよかったような気がする。
 
おつちょこちょな梅雨の長居かな 一文無 感想 山口あずさ 「おっちょこちょ」って、「おっちょこちょい」のことなのだと思いますが、「おっちょこちょな」という使い方をするのでしょうか? 方言なのかな?
 
青絵の具はや使い切り夏休み showmaru 感想 山口あずさ 絵を描くのが好きな子供の楽しい夏休み。かわいい一句。
 
くもり空ひそひそ話夜光虫 showmaru 感想 魚容 上五が気になりましたが。夜光虫の輝きをひそひそ話はおもしろいと思いました。
感想 山口あずさ 「くもり空」「ひそひそ話」が灰色の印象なのに対し、「夜光虫」が黒の中に光る感じ。配色が成功していないような気がした。
 
野外フェス音楽(おと)とビールと青い空 芽実 感想 山口あずさ 野外フェスの説明?
感想 五十嵐秀彦 「フェス」という略し方が気になるし、「音楽」と書いて「おと」と読ませるのもどうか。

 

 

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