第二十九回Hi! ku City句結果

 

6点句
ミッキーマウスくるくる帰る小春かな 田島 健一 特選 きっこ 「小春」は初冬の季語なので少し季戻りの感はいなめませんし、多少ツキスギにも感じられますが、上五中七の描写が秀逸で、マイナス要因をプラスに転じさせています。
特選 白井健介 「る」を四つ重ねた畳み掛けが効を奏したということは言えるだろうと思うんですよね。何だかほんとうによく分かるって感じのする句だよなぁ…「くるくる(帰る)」としか言ってないんですけどね。讃。
特選 子子 これは、私的にダントツの特選。好きです!!
感想 山口あずさ 東西線の車中で、ときどき、首だけのミッキーマウスをみかける。顔だけの風船は、ちょっと不気味な感じもする。。。
 
沢庵の美味き所へ遠回り 一文無 齋藤朝比古 沢庵の美味きところってどこ?今度連れて行って欲しいなぁ。下五の収め方が常套的なのが残念。
きっこ 佳い句ですね。季語の自由度が高く、良くこなれています。
山口あずさ 遠回りする価値がありそうです。
白井健介 スローフードをめぐるスローライフ感がこの句の場合ほどよい加減でとてもいい感じだなぁと思いました。
子子 おいしそう!!!!です。
喜誉司 ああ、世界一美味しい沢庵が食べたいな、と。
感想 魚容 「遠回り」がもう少しよくわかりませんでしたが、うまく漬った沢庵のうまさが想像されます。
 
雪降れば抱きしめられる猫がいる 子子 特選 齋藤朝比古 犬派の私としては、この句のよろしさの半分ほどしか感受できていないような気がするのだが、この句は好き。「中七」の衒いの無さがよろしい。
白井健介 「猫」に係るこの「抱きしめられる」は〈受け身〉の意なのか〈可能〉と解釈するべきか、どっち付かずに思えるもどかしさはあるが、まぁどちらでもいいってことなのかなぁ……。
田島 健一 「降れば」としたところがやや弱いのですが、抱きしめられてしまう猫にいとおしさを感じました。
喜誉司 経緯が知りたいです。
showmaru 「エースをねらえ」もドラマで始まった。抱きしめているのは岡ひろみだと思う。
 
夜の火事一部始終を見て帰る 田島 健一 特選 草もち うーん、何だろう、この句の魅力。何ともいえないおかしみがある。きっと大したことないボヤで、期待半分で行ったのにちょっとがっかり、というところか?つまらない日常を脱したくてもなかなか脱することができない、そんなペーソスが漂う。
きっこ 良くある景ですが、素直に詠めていると思います。
Ken1 夜の火事はそこだけが明るく、シルエットが鮮明なだけ感傷を拒否しているようだ。きっと平家物語を語った法師たちも、そう思いつつ歴史を見続けたに違いない。
一人 眠くても、寒くてもこれを見ずに帰られようか。野次馬の顔は上気しててらてら。しらじらと夜があけるころ火事は夢のように消えてゆき その後の虚しさ眠さといったらない。
魚容 ふっと、放火魔の句かと思いました。虚無の漂う句。うまい。
 
4点句
極月や帰りは空の貨車ばかり 草もち 特選 showmaru なぜだかジブリの「猫の恩返し」を思い出しました。
Ken1 荷を満載した重量感のある貨車が走行するのに比べて、何という軽い音が跳ねていくことだろう。何かが終わったという気軽さと、何か空しいもの。それは歳末という時期と共鳴しているのだろうか。
きっこ カ音の羅列がリズミカルで、連なった列車を感じさせています。
感想 夜来香 カ行の羅列が小気味いい響きです。
 
睦み来し妻の背流す初湯かな 一文無 特選 魚容 中年の夫婦でしょうか。背中を流しながらの会話とか、ちょっと想像してしまいます。うちは久しく一緒に風呂に入っていませんが。正月らしい暖かみのある柔らかい句ですね。
山口あずさ 要介護支援なのかなと、ふと思いました。身近にあった話なもので。。。
白井健介 羨ましいかぎりです。そんなふうにしか申し上げられません。素晴らしいと思います。
 
晩秋や橙色の蛇が出る 松たかし 田島 健一 「橙色の蛇」がいいですね。ほんとうにいるのか知らないのですが、ほんとうにいそう。
魚容 橙色が少し気になりましたが、晩秋の冬眠する直前のの蛇は、夏の湿った空気の中とは違って、乾いた空気の中、落葉の上をカサカサと音立てて、くねり進むのです。
子子 蛇は嫌いですが、この蛇には出会ってみたい。
一人 ものみな色づく秋に 何を呑んだか橙色の蛇。不思議なコーディネイトだが色鮮やか。
 
お土産の朱欒とともに復命す 草もち 特選 田島 健一 朱欒がリアル。「復命」の乾いた感じとの取り合わせが実に良いですね。
特選 一人 ふるさとの名物をもって復命する作者。ここが会社なら なんてのんびりした会社。ここが家庭なら上司よりも厳しい配偶者の視線。
 
3点句
くつさめののち人間の初期画面 白井健介 特選 山口あずさ 「人間の初期画面」というフレーズに惹かれた。ある一人の人間の原初の姿。あるいは、原人にまでさかのぼる人間の最初の最初なのか。
草もち 「人間の初期画面」という大仰な物言いに惹かれた。くしゃみの一瞬後には、人間の素の顔が覗く、というところか。思わず頷く句。
感想 齋藤朝比古 初期画面は面白い見立てではあるが、底が浅いような感。
感想 夜来香 なるほどね。おもしろい発見。
感想 魚容 たしかに無防備になりますね。おもしろいです。「初期画面」という言葉が、なんとなくなじんでなくて、気にはなりますが。
 
家へ帰る理由と自由冬すみれ 田島 健一 特選 喜誉司 すみれが冬に咲いているのを実際に見たことがありません。見てみたいな。
showmaru 「理由と自由」にある優しさが季語に繋がっていて好き。
 
亡命のし難き国や寒卵 Ken1 松たかし 「寒卵」と「亡命のし難き国」との取り合わせは面白い。でも、想起させるものがそんなにぶれないところが欠点?
齋藤朝比古 海外亡命者の処遇に対して大変慎重な我が日本。各人色々な考え方や思想があろうが、とにかくこの寒卵は憂いを帯びている。
一文無  
 
エッシャーの鳥限りなく飛び立ちて 子子 特選 Ken1 シルクハットから出て来る鳥は、その瞬間に拍手を集めるだけだが、こちらの限りなく飛び立つ画面は揺らぐように見えて限りがない。その鳥はわたしでもあり、遙か昔の何かでもある。鳥たちは何処へ消えていくのだろう。不安をかもす世界の中に。
草もち 錯覚を利用したエッシャーの騙し絵。鳥は飛び立っても飛び立っても、なぜか地表から離れられない。何かわれわれの寓意のような・・・。
 
山眠るピアノを壊すピアニスト 一人 草もち 静と動の対比。一寸あからさま過ぎる憾みはあるが。
山口あずさ 「山眠る」がグランド「ピアノ」そのもののような気もする。
子子 何かを思い出しそうで。。。思い出さない。
 
霜の夜の指に煙草の匂ひかな 齋藤朝比古 特選 松たかし 素直なやさしくなれる句です。どこか温かい気分もわき上がってきます。
草もち 「霜の夜」の静かさを、とても鋭敏な感覚で捕らえていて、好きです。
 
2点句
武器はまだ余っております竹の秋 山口あずさ 松たかし ここでの「武器」って何でしょう。いろいろ考えましたが「竹の秋」とイメージを共存させるぴったりのものを私は見つけることができませんでした。でも、何かあるんですよね。
一文無  
感想 齋藤朝比古 上五中七の批評性はよい。だだ、やはり句会には当季の句を出してほしい。春まで待っていて欲しかった。
 
鯉の背の寒九の水を帰りけり きっこ Ken1 水は寒の厳しい刃物のようで、鯉はまたその背の鱗一枚一枚の意思で装っている。妥協はない。水を切る鯉も、切らせる水も、しかしお互いにこれほど爽快な時間はないことだろう。
齋藤朝比古 上手な句。「背」に焦点を合わせるところがとても俳句的効果をあげている。この手の俳句に食傷気味な方もいらっしゃるとは想像。
感想 魚容 越後の昔話でもあるのでしょうか。よくわからないですが、不思議とイメージは広がります。
 
凩の帰るとこなし潤目焼く 魚容 Ken1 凩といえば言水,誓子,龍之介の句を思い出すが、これは<潤目焼く>と日常感覚に落としたところが、分かりやすい。
喜誉司 潤目って目が潤んでいるから潤めっていうんですね。
 
帰るべき過去あるごとし冬茜 Ken1 松たかし 「冬茜」がとてもきれいなんだけど。「ごとし」にごまかしを感じてしまいました。
showmaru 少しセンチメンタルだけどわるくないです。
 
ただいまの声より先におでむかえ 芽実 喜誉司 わかるのでしょうね。いいな、いいな。
子子 これは断然猫でしょう!
 
鯛焼の帰りを待つてゐたりけり きっこ 齋藤朝比古 小市民的幸福の一ページ。あの湿り気を帯びた紙袋を開ける瞬間の至福。「の」を「が」にした方が句としては面白いような気も。
田島 健一 シンプルな句の形が、待ち遠しさを引き立てていると感じました。
 
鐘楼に女のマフラー赤いまま 松たかし 一人 ご覧よ あの高いところを。ずいぶん前からひっかかっていたようだけど、あれってマフラーじゃない?女ものだよ。どうしたのかねえ、あの持ち主は?
一文無  
 
焼藷の車冷たく帰りけり 齋藤朝比古 特選 一文無  
感想 山口あずさ 売れなかったってことなんだろうか。
 
1点句
帰郷せぬ訳と捨て去り古暦 showmaru 白井健介 然り気なく装いながらも重苦しさを窺わせる内容に読者は自ずと思いを致してしまう。仕掛けの巧妙な句と思う。
 
猫未だ帰らず霰酒ひらり きっこ 一人 待っても待っても帰らない猫。気にしてないふりをしてやっぱり気になって。折角の霰酒でも体は温まらない。おや空から本物の霰が。
 
ふっくりと御霊のかたち鏡餅 一人 山口あずさ これを一瞬、冒涜的な気持ちで読んだわたしって。。。
感想 夜来香 ふっくり」という表現で「かたち」というひらがながより一層活きています。
 
初風呂や右も左も墨の衆  一文無 きっこ 浴場の広さと、その中での作者の狭さを同時に表現していて、良く練られている句だと思います。桶のコーンと言う音が聞こえてきそうですね。
 
雪うさぎ壊して作る人道支援 山口あずさ 田島 健一 「壊して作る人道支援」が秀逸。「雪うさぎ」を壊すように読めてしまうのですが、この場合、「雪うさぎ」のあとに切れがあるつもりで読みました。壊すものは「雪うさぎ」ではない何か、ということで。
感想 白井健介 「作る」が句の内容を分かりにくい印象にしている部分もあるのでは?と。例えば《雪うさぎ壊し人道支援とや》としても宜いかもしれない。まぁ言い回しに関しての好みにもよると思いますが…。
感想 夜来香 見るも無残な・・・なんてことにならないようにしてもらいたいですよね。
 
砕けては帰る波なく冬深し Ken1 松たかし 厳しさがよくでている。「冬深し」が具体的イメージを想起させないところが難。
 
免罪符のごときHappyNewYear showmaru 一文無  
感想 山口あずさ 一年の無沙汰の詫びか。
 
白雪や足跡の無き帰り道 喜誉司 魚容 帰ろうとしたら、ついさっきの自分の足跡が、雪で消えている。風も強い冬の夜の帰り道。
 
腰の低い男となりし友と遇う 山口あずさ 魚容 印象が変わってしまった昔の友。でも飲んで話しているうちにまた昔のやんちゃの気配が漂い出す。正月の同窓会のことかなって思ってしまいました。
感想 白井健介 採らなかったのですが、内容的には痛く感じ入る句ですよねぇ…。
 
0点句
手袋を忘れて帰りまた嘘か 喜誉司 感想 山口あずさ どういう嘘なんだろう。状況がもう少し推察できると、ドラマを感じられるような気がする。
 
コート脱ぐかすかな銀色の眩暈 白井健介 感想 齋藤朝比古 銀色の眩暈・・・。感じ入るものあり。「コート脱ぐ」は少々違和感。難しい。
 
煩悩を 打ち消す鐘は 終わりなく 邪狩 感想 山口あずさ 百八つじゃ足りない。。。
 
冬の帰路 この先待つは 慕い人 邪狩 感想 山口あずさ のろけですかね。
 
森を出で我が家へ帰る聖樹かな 一人 感想 山口あずさ 「聖樹」にとっての「我が家」って?
 
初春や子らつぎつぎと湯上がりで 魚容 感想 山口あずさ 里帰りした大勢の孫たちでしょうか。
 
股引き着ぶくれ国立競技場に坐す 白井健介 感想 齋藤朝比古 ラグビー観戦だろうか。「股引」「着膨れ」のたたみ掛けがこの句の眼目なのだが、やり過ぎかも。
 
ただ単に嬉しいとだけ梅の春 子子 感想 山口あずさ 幸福の原点。
 
冬薔薇彼が帰って夜が更け 松たかし 感想 山口あずさ 「冬薔薇」がドラマ仕立て。
 
冬の月我の掌より白し 齋藤朝比古 感想 山口あずさ 寒ぅーい感じがよく出てると思います。
 
雑巾を絞るが冷たき去年今年 魚容 感想 山口あずさ この「が」がどういうう「が」なのか、今ひとつつかめない。
 
盆の日に 帰る地上は 空の塵 邪狩 感想 山口あずさ 意味がよくわからなかった。
 
大掃除ゾロのサインの消さざるや showmaru 感想 山口あずさ 貴重なものはやっぱりとっておきましょう。
 
夏秋と過ごした川に鳥さがす 喜誉司 感想 山口あずさ 鳥を見るには冬が一番とか。
 
自転車で丸竹夷冬深む 草もち 感想 山口あずさ 京都一周ということでしょうか。「丸竹夷」ネット検索してしまいました。
 
帰り道5分の道のりドギーマギー 芽実 感想 山口あずさ 「ドギーマギー」の正確な意味を知らないことに気づいた。。。ネットで調べてもわからない。広辞苑も引いた、英和大辞典も引いたけど。。???そっれにしても、ネット上で「どぎまぎ」の代わりに使っている人の多いこと!

 

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